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【グアム】グアムでレックダイビング(沈船ダイビング)をするには?

2023年11月、久しぶりにグアムを訪れた。


とはいえ、今年の頭に訪れたパラオの経由地としてグアム自体に入国はしていたものだから、今年2度目の来訪となる。前回は入国はしたものの乗り継ぎだけの為に空港からは出なかったので、ゆっくりと滞在するのは久しぶりであった。


グアム国際空港から出て外の空気を吸うと、サイパンやミクロネシアでも同じ匂いがする。南国特有のどこかカビ臭い湿った空気。これは訪れた者にしか分からないかもしれないが、その匂いを感じると安心するのは長年このエリアに通い続けているからだろうか。今年の夏にグアムと地理的に近いサイパンを訪れた時には観光客の少なさに愕然としたものだが、グアムの滞在では、そこそこ日本人観光客も戻っている印象を受け、少し安心した部分もある。現地の人によると、日本人より韓国人の方が今のところ多いイメージのようだが、円安の影響はあるが、現地の物価上昇は比較的抑えられており、物価高が伝えられているハワイなどより金銭的負担も少ないので旅行先としてお勧めである。


グアムの目的は当然、レック(沈船)ダイビング。今回、現地の皆さんにはかなり無理なリクエストをしてしまったのだが、少しだけそのあたりに触れながらもグアムでのレックダイビングの現状などを皆さんに共有できたらと思う。


グアム鎮魂社前の大砲
グアム鎮魂社前の大砲

 だが、その前にグアムの「歴史」をどれだけ皆さんは知っているのだろうか。


日本から飛行機で3時間50分。日本人が大好きなハワイまでが7〜8時間なので、その約半分。距離にして2,500km、人口17万人の中で、日本人は3000人程(コロナ前の統計)だそうだ。中心地には免税店やブランドショップなどが立ち並び、観光産業を主としている島である。


グアムの人のことを「チャモロ人」と称すが、スペイン語の「かりあげ」「禿げ」という意味だそうだ。紀元前3000年からスラウェシ島などの島嶼東南アジアから移住してきたと言われており、今日のチャモロ人の祖先とされている。


グアムは16世紀にポルトガルのマゼランによって発見され、その後スペインによって植民地化、19世紀末のアメリカとスペインとの戦争からのパリ条約を経て、アメリカの植民地となっている。1941年に太平洋(大東亜)戦争が勃発し日本がグアムを占領。大宮島と呼ばれ以降2年7ヶ月日本の占領下にあったが1944年にアメリカが奪還。


以後、日本列島への爆撃拠点となったのは、過去の大戦に詳しい方であればご存知だろう。

 

 現在においては観光地の中で陸上戦跡も整備もされいくつか存在する。また、戦跡ツアーや戦争博物館なども存在しており観光客を受け入れているが、水中においてはどうだろうか?少しずつ紐解いていけたらと思う。


◉目次

グアムのレック(沈船)一覧

 グアムにおいてレックダイビングは太平洋戦争(第二時世界大戦)、第一次世界大戦、わざと沈めたものまであり多種多様である。これは世界的に見ても珍しい場所だと言えるだろう。それならばとダイビングショップや観光局のサイトなどを調べて見ても、断片的に紹介はされているが、どのようなポイントがあり、どこにあるのかなど、まとめたものを日本語で探しても全く見つからない。多くはアプラ湾に存在しているのだが、潜られていないものもあり、現地のショップに聞いても「場所が分からない」と言われてしまう場合も多いのではないだろうか。以下に紹介するのが主だったポイントである。


グアム島・東海丸
グアム島・東海丸

東海丸(アプラ湾)20-35m

SMSコーモランⅡ(アプラ湾)30-37m

 第一次世界大戦時ののドイツの船

木津川丸(アプラ湾)35-40m

九九式艦上爆撃機(現地名バルボンバー)(アプラ湾)26m

零式三座水上偵察機(アプラ湾)30m

零式三座水上偵察機(アプラ湾)60m

アメリカンタンカー(アプラ湾)15-30m

 大戦後にハワイから防波堤建設の為に砂利を運んできた運搬船

セメントバージ(アプラ湾)8m

 大戦後にハワイから防波堤建設の為に砂利を運んできた4隻の運搬船

Amtrak(Just off of Agat Cemetery) 40ft

 アムトラック(水陸両用トラクター)がある

Harley Reef(Cabras)10-60ft

 Harley-Davidson 1944/45 WLA Flatheadがあったが、2023年の大型台風により崩壊

Seabee Junkyard(Apra Harbor)35-130ft

 防波堤を建設した後に海兵隊などが廃棄したブルトーザーなど

Tarzan Cave(Orote cliffline)30-60ft

 第二次世界大戦の「遺物」との記載。何かは不明

Sharks Pit(Orote Peninsula)40-160ft

 戦車などの残骸が多数捨てられているポイント


上記の中で、東海丸、コーモラン、九九式艦上爆撃機(バルボンバー)、アメリカンタンカー、セメントバージと呼ばれているものに関しては、ダイビングボートが多く停泊しているアプラ湾内にあることから比較的潜られることも多いようだ。また、東海丸とコーモランはほぼ同じ場所に寄り添うように眠っているが、見どころの観点からもポイントを選定する時は東海丸が選択されることが多いのではないかと思う。


木津川丸はアプラ湾でも航路上にあり、ブイも設置していないことから基本的にはダイビングはしていない。私が潜った際にはボートキャプテンが山立て(目印となる山や大木などを複数決めて、その線が交わる場所をポイントとして覚える)をして入っており、GPSの普及で数字を追ってエントリーすることが増えた中で、非常に原始的な方法であった。ただ、水深38mと深く、透明度も良くないことから船上で場所があっていてもエントリーをしたら流されてポイントがズレてしまい、入っても「見つけられない」ということもあるので、先に入るガイドは相当なプレッシャーと皆さん口を揃えて話す。以前、潜った際には見つけられずに何度も入り直すということをしていただいた事もあったが、水深もある為に身体への負担も大きいので心より感謝するところである。尚、2023年に台風の影響と大型タンカーのアンカリングにより、象徴的な存在であった大砲が崩落しマストが折れてしまうという事件が発生している。


零式三座水上偵察機は、一機はビーチからも行ける場所にあり、もう一機は大深度(60m)にあるそうだ。大深度にある方は私はまだ確認できていない。


英語で書いたポイントは欧米系のショップ(MDA)のポイントリストから引用させていただいたもので、水深なども引用を元にフィート表記とさせていただいている。これを書いている2023年現在、私はまだ潜れていない。


今後、チャンスがあれば行ってみたいと思っている。

グアムのダイビングスタイル

 お世話になったガイドさんいわく「グアムに来るベテランダイバーは少ないね」とのことで、旅行中に1日だけダイビングや体験などで来るゲストが多いようだ。先日、私が利用した「S2CLUB GUAM」や「NINJA DIVE」は、アプラ湾よりボートが出る為に、20分ほどかかるホテルまでわざわざ迎えに来てくれたが、他のショップも同様に送迎付きで対応してくれるところがほとんどだ。


グアム島・アメリカンタンカー
グアム島・アメリカンタンカー

コロナ前から日系ショップは多数存在しており現在も頑張って営業しているが、上記2ショップの場合、午前に2本、午後に1本というスタイル。午前だけのプラン、午後だけのプランなども存在するので自分の予定と照らし合わせて好きなタイミングで潜ることができるだろう。ショップによって自社ボートを持っているが、乗り合いなども含めて体験ダイビングなどのゲストもおり、あくまで希望としてリクエストは出来るものの、必ず沈船ダイビングができるとは限らないのが実情である。


例として、今年お世話になったS2CLUBさんの場合、自社ボートがあるものの、1日3ダイブの中で「全ダイブ沈船は基本的に不可能」という回答をいただいていた。その中でも「○本目はもしかしたら行けるかもしれない」状態の中で申し込みをしていたのだが、たまたま他にレックダイビングをしたいというゲストにも恵まれ、ボートを分けて出航するなど非常にフレキシブルな対応をして下さり、お世話になったタイミングではほぼレックを潜ることができたのは心より感謝するところである。


NINJA DIVEさんの場合、こちらは様々なボートに乗ることがあるとのことで臨機応変に動いてくださるのが強み。ガイドのミキさんには、日本語の堪能なアメリカ人の陽気な旦那様と共に現地でお世話になったのだが、欧米系ショップが持つボートにも乗船する事も多く「土曜日と日曜日にレックポイントに行くことが多い」という話なので、曜日を合わせることでそちらに乗船できればレックポイントに行ける確率は上がるかもしれない。


どちらにしてもグアムを訪れるレジャーダイバーの多くは青い海とお魚が目当てであることが多い為に、普通にファンダイビングの申し込みをして、「沈船にだけ潜りたい!」というのはよほど運が良くなければ難しいだろう。


・ガスの種類

特に東海丸やコーモランといった沈船は、サイズ感も大きいことからナイトロックスを推奨する。グアムであれば32%のナイトロックスを追加料金はかかるが用意してくれるところも多い。(28%など細かい数値での用意は難しいとのこと。)ナイトロックスで潜ることにより、ダイブコンピューターの無減圧潜水時間(NDL)を伸ばし、比較的余裕を持って沈船にアプローチをすることが可能となるだろう。しかしながら、自分だけナイトロックスを使っても、ガイドや他のゲストがエアーであればそちらに合わせる必要も出てくる事から時間はあまり変わらないかもしれない。それでも身体への負担、NDLをある程度気にせず潜ることができる事もあり、やはりお勧めしたいところだ。


・ダイビングの初心者の方は

東海丸などの有名な船や指導団体のオープンウォーターレベルでは難しく、さらには少しでもダイビングに慣れ、スキルなども磨いてからの方がじっくりと見ることが出来るであろうから、アドバンスまでは持っていることが望ましい。ダイブショップに問い合わせ時にしっかりと確認をして欲しいと思う。

グアムの沈船シーズン

グアム島・九九式艦上爆撃機
グアム島・九九式艦上爆撃機

 私見ではあるが、基本的にグアムの沈船の多くは湾内にある為に季節はあまり関係ないと思っている。季節風の影響による透視度の変化をよく耳にするが、アプラ湾内は正直いつも透視度は良くはないので(ただ、コロナ禍においては生活排水や作業船なども少なかったようで凄く綺麗だったそうだ。)そこまで気にしないで良いと考える。普段のダイビングではやはり風の影響が大きく、風が強い時は外洋が荒れ湾内で潜ることが多いようなので、ショップには頭の痛い話かもしれないが、沈船を潜りたければ「風よ吹け〜」と祈ってもらえればと思う(笑)


・雨季(日本の夏)

時よりスコールが訪れたり台風の発生は悩みの常。この時期は透明度が落ちる。


・乾季(日本の冬)

季節風が吹き始めると透明度が上がる。また有名なブルーホールなどは島の西側にあり、季節風は北東からの風である事からアプラ湾から島陰となる外洋などにも出やすくなるそうだ。

ダイビングショップの選び方

 まず、旅行会社の販売するダイビングパッケージ付きツアーで予約をした場合、基本的には沈船ポイントには行かないと思ってほしい。現地に到着をしてから「行きたい」と言われても前述の通り難しいことがほとんどであるから、必ず予約前に旅行会社や利用するダイビングショップに確認をする必要がある。また、ショップ(ガイド)選びはかなり重要である。何処でも良いから沈船ポイントに行きたいであれば問題ないと思うのだが、ポイントによってはガイドが、場所が分からないという事もよくある話なので、自分の行きたいポイントに行けるか、問い合わせ時に必ず確認をしてほしい。


そのような中で、私もお世話になったことのある独自にレックの調査をされている「AQUA ACADEMY」の岡さんがその界隈では有名で、戦跡ツアーとして陸上と水中両方を巡るツアーを「レックスペシャル」として開催している。ボートの手配の問題もありタイミングも重要なようだが、もし興味のある方は直接コンタクトを取られたら良いだろう。個人で調査をされるということは費用も時間もかかることでリスペクトに値するものである。


上記で紹介させていただいた「NINJA DIVE」さんや「S2CLUB GUAM」さんも非常にレスポンスがよく親身になって相談に乗っていただけたのでお勧めできるショップである。

グアムで沈船ばかり潜る為には?

グアム島・S2CLUB GUAMのボート
グアム島・S2CLUB GUAMのボート

 他のゲストを気にせず自由にレックを潜りたい!と思うのであれば、「ボートチャーター」という手段が存在する。グアムの場合、船のサイズにもよるが1日600ドル前後(2023年現在)で借りることができるとのこと。半日や午後だけといったプランも可能なので予算に応じてチャーターが可能だ。ショップによって違うので目安と思って欲しいが、相場はサイパンなどとそこまで変わらないように思う。やはりポイントの問題や、安全面、ダイビングで潜る為のタンク(シリンダー)の問題もあることから、ダイビングショップを通すことは必須で、更には「ガイドが空いている」という条件が必要となり、そこにガイドフィーなども上乗せされることを忘れてはならない。まずは色々なショップに問い合わせをしてみること。最終的な手段としてチャーターという手段を検討すると良いだろう。


グアムは英語圏であることから語学に不安のある日本人の場合、比較的及び腰になってしまう交渉なども、日系ショップが多いことから容易にすることができるのでぜひチャレンジしてほしい。もし、自分での手配は難しいが、どうしても潜りたいという方がいればコンタクトより私に連絡をしてほしい。共に行きたい場所を相談し、お連れするということも可能である。より安価に行きたいという事であれば、頻繁ではないが、私自身が開催するグアムレックツアーに参加をするという方法もある。


この内容が少しでも皆さんのレックダイビングの一助になれば幸いである。グアムの東海丸や、九九式艦上爆撃機も掲載。写真図録「群青の追憶」もぜひご覧いただけたら幸いである。


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