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執筆者の写真Hiroyuki TOMURA

沖縄・慶良間諸島に眠るUSS LST-447を潜る

8/22-23 LST-447にはじめて潜る機会をいただいた。


USS-LST447 艦尾
USS-LST447 艦尾

 

 1942年に起工、進水したLST-447は、その後ソロモン諸島やマリアナ海域などでの戦闘に加わった米海軍の歴戦の艦である。LSTというのはLanding Ship Tank、日本語的に言うと「戦車揚陸艦」という船でその名の通り、戦車を揚陸(船に戦車を積み込み陸上へ上陸させること)することを目指す船で、それには歩兵なども追従する。


このLST-447が沈没したのは1945年(昭和20)4月7日。前日の4月6日に日本軍の特別攻撃隊の体当たり攻撃を受け、多数の死傷者を出し翌7日に沈没という記録がある。沖縄繋がりで最近よく耳にするようになった古宇利島に眠るUSS エモンズも4月6日に体当たり攻撃を受け、7日に友軍により海没処分されており、この2隻は非常に似た運命を辿った艦である。余談だが、この4月7日はかの有名な戦艦「大和」が海上特攻として沖縄に向かい沈没した日と同じ日である。


USS-LST447 装軌車両
USS-LST447 装軌車両

 

 沖縄本島から約1時間ダイビングボートに揺られ、到着する慶良間諸島。このポイントは慶良間諸島の中でも阿嘉島と繋がる外地島の南に位置する場所の水深42mほどに眠っている。現在までにブイなどは付いておらず、潜水時はボートをアンカーなどで固定をしないドリフト潜行となる。時には流れの早い場所なので、ゆっくり潜っているあいだに流され水底にある船体を見失ってしまうことから、素早いエントリーが可能な経験のあるダイバーであることが望まれる。ほぼ同じ水深の前述のエモンズはブイで固定されている為にロープ潜行なども可能なことから、エモンズよりもハードルは高いのではないだろうか。


水深を落とすにつれうっすらと見えはじめるその船体は完全にひっくり返っており、全長100mあった船体は中央部で2つに裂けた状態。しかしながらこの艦の象徴となる2つのスクリューは双方健在で、この人工物が「船」であるということを誇示していた。


USS-LST447 ペネトレーション(船内探索)
USS-LST447 ペネトレーション(船内探索)

 また、水底と船体の間が一部空間となっており、そこからペネトレーション(船内探索)が可能で、内部には多数の機銃弾などが見つかった。しかしながら、過去にまったく中に入られていない状態であり、スキルと知識のないダイバーが安易に入ることで崩落する危険性もある為、無闇に入ることはお勧めできない。今回お世話になった、ベントスダイバーズの大原拓さんはテクニカルダイビングなどの第一人者であり特別に連れて行っていただいた。


中に入らないと見ることのできない機銃弾に関しても、海から持ち出し陸上で発火したという前例や、「お土産」として過去に持ち帰ろうとしたダイバーがBCのポケットに入れた状態を忘れ、空港の保安検査に引っかかり大騒動になったという話もあり、むやみに触れるべきではないだろう。その他、海底に散らばる大小様々な船の遺物は現在精査中であり、またこの続きをどこかでお伝えできたらと思っている。


今回お世話になった御二方。オリンパスマスターとして有名な写真家の清水淳さんの船で、ベントスダイバーズの大原拓さんが清水さんと共にこのLSTダイビングを定期的に開催するようで、テクニカルから一般のファンダイバーも受け入れ可能だそう。興味のある方はぜひ直接連絡を取ってみて欲しい。一緒に潜ってくれた友人夫妻にも感謝を。


なぜか慶良間便に乗るとどの船でも毎回船酔いで死にそうになる私ですが、エモンズとLST、沖縄のレックとして両方潜るプランなんて良さそうですね。

USS-LST447 艦内に残る機銃弾
USS-LST447 艦内に残る機銃弾


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